グラフェン表面に構築するバイオインターフェース
グラフェンはその発見以来、電子デバイスのみならずさまざまな分野への応用が考えられてきました。私たちは、グラフェンを基盤としたタンパク質センサの構築に取り組んでいます。その実現のためには、グラフェン表面を修飾し、バイオインターフェースを構築する技術が必要です。
タンパク質を検出するしくみ
グラフェンバイオセンサでは、アプタマの分子認識機能を物理的に測定可能な蛍光に変換しています。この変換にグラフェンが大きくかかわっています。
具体的には、グラフェン表面に1本鎖DNAを修飾します。このDNAは特別な塩基配列を持つもので、アプタマと呼ばれます。アプタマの持つ塩基配列は、決まったタンパク質だけを認識し、複合体を形成します。
アプタマの分子認識機能は、通常では観察できない、微小なスケールの変化です。私たちはアプタマの先端に蛍光色素を結合させ、グラフェンとの距離の長短による蛍光強度の差異を利用して、この変化を蛍光を用いて検出しています。このときグラフェンは、蛍光共鳴エネルギー移動反応のアクセプタとして働きます。すなわち、蛍光色素が近接する際(具体的には分子認識前)には蛍光消光状態を実現します。分子認識した後には色素がグラフェン表面から離れるため、消光状態が解消し蛍光を発するようになります。
センサアレイ化
グラフェンバイオセンサにマイクロ流路を組み合わせることによって、センサアレイが実現できます。
センシング対象物質のひろがり
私たちのセンサは、DNAの配列を特定のアプタマに変更するだけで、タンパク質に限らない多様な分子の検出に応用することができます。