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物理学とは
物理学とはどんな学問でしょうか
物理学とは何かということを物理学関係の辞典で調べますと、 例えば「物質や自然や宇宙はどのようにしてできているか、 そこにどんな法則が働き、どんな現象が起るかを探求する学問」 (培風館「物理学辞典」より) という説明がなされていています。 これを読むとなんだか我々の日常生活とはかなり縁遠い感じがします。 しかし、そうではありません。物理学の成果は我々の生活のいろいろな ところで使われているのです。それを理解するには、 もし物理学と言う学問がなかったらどうなるかを知るだけで十分です。 もし物理学と言う学問がなかったら、電灯も、冷蔵庫も、エアコンも、 ラジオも、テレビも、携帯電話も、インターネットも、銀行のATMも、 自動車も、レントゲン写真機も、CTスキャンも、超音波診断機も、 鉄道も、橋も、船も、飛行機も、人工衛星も、 とにかく挙げてゆくと切りがありませんが、ないことになるでしょう。
すなわち、力学、電磁気学、光学、熱統計力学、量子力学などを 基礎とした物理学の専門分野 【例えば物性物理学(これはさらに半導体、磁性、超伝導、 誘電体、結晶、表面、光物性、等々の副分野に分けられる)、 プラズマ物理学、放射線物理学、素粒子物理学、生物物理学、 宇宙物理学、等々】の発展が、 これらに基礎を置く工学の発達や、化学、生物学などの 関連する自然科学の進歩を促し、結果的に我々の生活を非常に 豊かなものにしているのです。現在では大型加速器による素粒子の研究のように、 工学の発達が逆に物理学の研究を促している面もあるのです。
どのような職業につけるのでしょうか
このように、物理学が実社会でいかに役立っているかが解かれば、 逆にこれらを学んだ人を世の中がいかに必要としているかが理解できるでしょう。 大学院修了者も含めて進路は基本的には大きく2つに分けられます。 1つは学校、会社等で身につけた物理学の知識を生かす道、 他の1つは大学あるいは関連する研究機関で基礎研究と教育に携る道です。 しかし物理学を学んだ人達は、現在では物理学とは 直接関係がないと思われるところを含めていろいろな方向へ進んでおり、 また重宝がられているのです。例えば製造会社、IT関連会社、 会社の特許部門、商社等々です。その理由は以下に示すところにあると 考えられます。
- いろいろな専門領域の境界領域 (例えば、量子コンピュータ、遺伝子工学、地球環境学、等々)の 発展が時代を理学と工学が融合した理工学時代へ変えている。
- 科学の基礎知識と思考能力を身につけているので、理工学の幅広い分野に適応できる。
- ものごとを論理的に考える能力が現在の複雑化した社会で重要となっている。
- 理学系の独特な思考能力が豊かな創造性や柔軟な発想を生み出したりし、 これによって様々な状況に対応することができるようになる。
理科離れの時代だからこそ理系へ
現在、理科離れとか理工離れという言葉をいろいろなメディアを通して見聞きします。 メディアのこういった情報がそのことを更に増幅してしまうという現象に 我々は気をつけなければなりません。 そして、社会、経済、生命のように、一見理科とは無縁に見える領域も、実際は ソフトな科学技術に支えられているということを忘れてはなりません。 日本は自然には恵まれていますが、 資源は乏しいと言うのが共通認識です。 だからものづくりで生きて行かねばならない、とよく言われることです。 科学技術をリードしてゆく人材が依然として必要なのです。