コンピュータ支援測定(CAT:Computer Aided Testing)
 ものづくりにおける3D-CADおよびの3次元形状データ測定機の発達に伴い、リバースエンジニアリング(逆工程)の方法が急速に普及している。リバースエンジニアリングとは、製品の先行イメージとして作られたクレイモデルや、既に現物がある製品などの形状データを測定し、それをもとにCADデータを起こすことである。3D-CADを活用した製品の事前検討を行う際、CADでは作成しにくいデザインの微妙な変化が織り込まれた製品データや、2D図面しかない製品データを3D化したりする際に活用されている。大学では即戦力をもつ技術者の育成に重要な手法である。下図に自作の3次元座標測定機で2輪車のカウルを測定した点群である。


コンピュータ支援3次元設計(3D-CAD:Computer Aided Design)

 2次元だけでなく3次元CADソフトを用いて、コンピュータと対話しながらソリッドおよび滑らかな自由曲面形状をデザインする。形状の生成、移動、回転、拡大・縮小、複製、組立、修正、削除、復帰、運動シミュレーションなどの作業が自由自在にできて、そのデータがいろいろな後続工程に直接使われる。また、3次元シミュレーションにより機械要素の衝突、干渉、漏れなどの検出ができる。さらに、人工知能の技術を利用し、知的なマン-マシン・インタフェースおよび推論システムを開発することにより、半自動化/自動化・最適化の設計の実現を図っている。下図に2輪車の測定点群をもとに作成したカウルの曲線モデルと曲面モデルである。


コンピュータ支援エンジニアリング(CAE:Computer Aided Engineering)

 運動、強度、熱特性などの工学解析・計算・シミュレーションのソフトウェアを用いて、製品の性能や品質や信頼性などを予測する。3次元CADモデルに材料、力、温度などの境界条件を設定すると、計算メッシュの分割や複雑な工学的計算が全てコンピュータの内部で自動的に行われ、計算結果がわかりやすく可視化される。下図に2輪車カウルの衝突シミュレーション解析結果を示したものである。


コンピュータ支援製造(CAM:Computer Aided Manufacturing)

 コンピュータ数値制御CNC(Computer Numerical Control)工作機械を制御する各種の情報を生成し、生産プロセスの制御プログラムにしたがって精密加工を自動的に進行させる。これが生産工場自動化(無人化)システムの核になる部分である。本研究室では、通常の線分および円弧のCNC補間だけでなく、最新のNURBS(非一様な有理B-スプライン)補間によるCNC加工技術を開発し、流線形の複雑な製品の高効率・高品質での直接加工方法、現場におけるケアレスミスおよび高価な特殊素材や大型重量素材の加工失敗の防止できるCNC加工の3次元シミュレーションを研究している。下図にCNC加工シミュレーション、マシニングセンターで自動加工したカウルの型である。