cue広報誌原稿

Version 980223

1.研究室紹介
超伝導工学分野 牟田研究室
21世紀のキーテクノロジー「超電導技術」の電力機器への応用研究
 1911年発見された超伝導現象は1986年の酸化物系高温超伝導物質が発見されるに及んで工学的応用への期待は更に膨らんでいる。工学的応用分野の中でも、我々は特に電力システム機器、パワーエレクトロニクスデバイスなどの開発に関心を持ち、その基礎的研究と実用化研究を行っている。更に、特性解析のシミュレーション法、設計法、制御法などの確立を計画し、実施している。
 1988年に世界で初めて発電に成功した、励磁機も超伝導化した全超電導発電機については、特性解析等を継続している。励磁機に採用した磁束ポンプは、延世大学との研究協力に展開し、次世代の超伝導制御整流素子(パワーエレクトロニクスデバイス)は、ソ連時代のレベデフ物理研究所との共同関係の元に開始された。また、韓国電気研究所の界磁超電導発電機の開発研究をサポートするために、30 kVA超電導発電機の設計、特性評価を行っている。
 その他、超伝導送電ケーブルの基本的設計研究、通電損失の分析、小型超伝導変圧器、超伝導マグネットデータベースの研究など多岐にわたっている。また、これまで行ってきた超伝導電動機、無誘導コイル型SN転移式限流器、限流機能を備えた四巻線型変圧器の研究から、多くの知見が蓄積されたが、たとえば、共通課題として、超伝導線材の大電流密度化、安定化などの基礎研究の重大さを痛感している。

2.修士論文テーマ紹介
氏名:石下 晃生
題目:30 kVA超伝導発電機の設計とその短絡特性シミュレーション
本設計法では超伝導発電機構造を考慮した電磁解析によって得られる電気的諸定数式を基本に組み立てられたもので、各種パラメータの制約条件を変更することで定格の異なる発電機の概念設計にも拡張できる汎用性のあるものである。

氏名:小松邦喜
題目:200 MW全超伝導発電機の安定性および限流特性に関する研究
現在超伝導発電機は、高効率、省コスト、省資源などの優れた特徴を持ち、実用化が期待されている。本研究は電機子巻線も超伝導化する全超伝導発電機の先駆的研究として、発電機の数式モデルを導出し、その特性把握、事故時の安定性、さらに事故後の安定制御について取扱ったものである。

氏名:中田 幸治
題目:超伝導発電機の永久電流モード運転とSDR制御に関する研究
超伝導発電機が永久電流モードで、無限大母線系統に連係されて運転している状態での三相突発短絡故障発生時の過渡特性をシミュレーションによって解析および検討を行なった。また、系統安定用制動抵抗器を付加した場合の過渡安定性の向上についても検討を行なった。

氏名:松原大典
題目:超電導マグネット間のエネルギー転送制御に関する研究
三相エネルギー転送装置を励磁電源に採用し、超電導マグネットを用いてエネルギー転送実験を行い、その特性について検証した。更に、電力系統の負荷平準化や負荷変動補償のためのエネルギー貯蔵装置としての制御法について考察した。また、超電導発電機の励磁装置として用いた場合の系統特性を調べた。