ITPキャンプに行ったらヤバかった。

第三章

ワークショップの様子の画像1
ワークショップの様子の画像2

学びを広げる

ー帰国後ワークショップ

正しさを手放したら、ものづくりがもっと楽しくなった!

明星大学大学院情報学研究科の学生が仕掛けた、ちょっと不思議ですごく自由なワークショップ体験記

はじめに

みなさん、こんにちは!
第三章では、ITP Campに参加した学生たちが企画した、ワークショップについて体験レポートをお届けします。

「あのワクワクを明星大学でも!」という想いのもと彼らが企画したのは「布で音を奏でる」というワークショップ。

そこには、どんな想いがあり、どんなふうに開催されたのでしょうか。
一緒に見ていきましょう!

「『すごいもの』を作らなくていい」ーそんな空間を再現したい

「学び」と「創造」がぐちゃぐちゃに混ざり合った空間、ITP Camp。
参加してきた学生たちに話を聞くと、その印象をこんなふうに話してくれました。

「すごいものを作らなくていい場所!」
「ものづくりのハードルがとにかく低い!」
「完成していなくても、見た目がどうでも、”いいね”って言ってもらえる。小さなアイデアを見せ合って、”こうしたら?”って会話が始まる。その場のノリでどんどん変わっていって、気づけば全然違うものができてる。そんなのがすごく楽しかった!」

普段何かを作ろうとした時、「完成」であったり、「いいものをつくること」であったり、何かしらのゴールがあることが多くないですか?
ITP Campでは、そういった「完成」や「ゴール」を求められない、「面白そう!」っていう気持ちだけで、みんなで手を動かしてアイデアを形にしていく、そんな雰囲気があったそうです。

完璧じゃなくていい。 むしろ、途中で誰かに見せた方が面白くなる。 壊れてしまったって、うまくいかなくたって、それも笑い合える。 自分一人じゃたどり着けない場所に、誰かと一緒なら行ける! ゴールを目指さないからこそ、自由に思い切り、学べる!

そんな自由な空気がITP Campにはあったのだそう。

日本ではなかなか感じられない、学ぶことが心から楽しくなる空間。 今回、企画した学生たちは、そんな「自由な学びの空間」を、ワークショップで再現したいと試みたのでした。

「わからない!」って、ちょっとワクワク?!ワークショップ、いざ開催!

ITP Camp 帰国から、ワークショプ開催までは、約2週間! 企画メンバーたちは、大急ぎで準備を進めたそう。

ワークショップのテーマは、「布で音を奏でる」。 導電糸を布に縫い付け、引っ張ったり縮めたりすることで音が鳴るという、ちょっと不思議で、楽しい体験型コンテンツ。 身近な素材「布」にテクノロジーをちょこっと加えるだけで、まったく新しい世界が広がります。

この発想も実は、ITP Campで出会った「素材そのものを使った表現」がきっかけなんだとか。 「アプリやコードじゃなくても、“情報”って表現できるんだ!」という発見を、オープンキャンパスに来てくれた高校生たちと、分かち合いたかったそうなのです。

ITP Campで感じた、「自由な学びの空間」。果たして高校生たちに伝わったでしょうか・・・。

高校生たちの反応は?

ドキドキしながら迎えた当日。 高校生たちが続々とキャンパスにやってきました。 みんな、興味津々でブースに立ち寄り、企画メンバーの話に耳を傾けます。

企画メンバーの自己紹介、ITP Campのこと、今回のワークショップのテーマの説明をして、いよいよ作業スタート!

作業が始まると、高校生たちは、説明を聞きながら真剣な表情で手を動かしています。 実はこの手作業、少しコツがあって、やり方次第では失敗してしまうこともあったそう・・・。 でも、参加してくれた高校生たちに楽しい体験をしてもらいたいと、企画メンバーは前日の夜中まで、失敗しないやり方を考え続けたそうなのです。 そのかいあって、参加してくれたみんな、音を奏でることができたようです。

体験後、高校生たちに感想を聞くと、 「楽しかった!」「面白かった!」という声がたくさんありました。 その一方、
「情報学部ってもっとわかんなくなった…」という正直な感想も!

「情報=パソコンやデータ処理」というイメージを持っている彼らにとって、「布で音が出ることが情報?」なんて、ちょっと予想外だったはず。わからなくなっちゃいますよね。 でも、 視界が広がって、 「これも情報なんだ?」 「情報って、なんだろう?」っていう、 新しい「問い」が生まれる瞬間でもあったはず。 「わからない」って、実はワクワクする入り口なのかもしれません。

身近なものが情報技術に!
ものづくりの楽しさはわたしたちの周りに溢れている。

今回のワークショップで、企画メンバーが大切にしたことは、
「ものづくりの楽しさは、実は自分たちのまわりに溢れているんだ」ということを感じてもらうことでした。
そのために、身近な布と糸が意外な形で情報技術とつながる面白さを体験できる、「布で音が出る」ワークショップを企画したのです。

身近に溢れるものを使って、みんなでものづくりをすることで、
「すごいものを作らなくていいんだよ!」
「ハードルは高くしなくていいんだよ!」
といった、ITP Campでの空気感を高校生たちに共有したかったのでした。

高校生たちに「楽しい」と感じてもらえたことで、この空気感の共有はうまくいったように思います。
ですが、その反面。
ITP Campのような参加者同士の活発な交流、いわゆる「わちゃわちゃ感」を完全に再現するには、もう少し工夫が必要だったかも・・・という気持ちもあったそう。
普段、「教える人」と「教わる人」という構図で授業を受けている高校生たちですものね。
オープンキャンパスのワークショップという場所で、わちゃわちゃという感じは難しかったのかも・・・?

とはいえ、「布で音が出る」という、ちょっと奇妙で不思議な体験は、間違いなく、高校生たちに新鮮な驚きや発見を与え、「ものづくりってなんか面白いかも!」と感じてもらう、良いきっかけになったことでしょう。